悪魔 嘘つきでずる賢いジャックとは、お前のことか?
ジャック 嘘つきでずる賢い、か。随分な言われようだが、
悪魔 だから、お前の魂を今、ここで、奪うと言っているんだよ。
ジャック ちょ、ちょっと待て。どうしてオレの魂を?
悪魔 嘘つきでずる賢いお前は、多くの人の恨みを買いすぎた。
悪魔 そうは言っても無駄なこと。これはもう決まったことだ。
悪魔 今さら後悔しても遅い。嘘つきでずる賢いジャックよ。
ジャック くっ…。そ、それなら、最後にひとつ、オレの願いを聞いてくれるか?
悪魔 最後にひとつ、か。まあいいだろう。言ってみよ。
ジャック そのくらいの慈悲をかけてくれてもいいだろう?
あんたは身動きひとつ取れなくなる。なぁ、そうだろ? 悪魔さま!
ジャック ははは。オレは、嘘つきでずる賢い男だからなぁ。
ジャック 約束してもらおう。オレの魂を奪ったりしないと。金輪際、二度と!
悪魔 …仕方がない。約束しよう。私はお前の魂を取らない。
悪魔 いかにも。お前がここにいるということは、現世での命は…。
ジャック 現世でのオレは決していい人間じゃなかったからな。
ジャック 仕方ないから、地獄へでも行こうかと思ってな。
悪魔 約束したろう? お前の魂は二度と取らないと。
ジャック じゃ、じゃあ、オレはどこへ行けばいいんだ。
悪魔 さぁな。どこへも行けず、彷徨い続けるんじゃないか。