トップ  > 恋ジャズ  > ラスト・ワルツ~There will never be another you~

ラスト・ワルツ~There will never be another you~

ねぇ、昔話を聞いてくれる?

遠い遠い、昔々の話よ。

 

私は恋をしたの。

誰もが羨むほど素敵な、とても残酷な恋よ。

ひと目見てわかったわ。

この人が私の運命だと。

きっと、同じことをあの人も思ったはず。

だって、瞳がそう告げていたもの。

 

運命という言葉は、私たちをとても傲慢にしたわ。

ふたりを邪魔するものはすべて悪だと決めつけて、

何があってもこの想いを貫くのが正義だと思い込んで。

運命の恋人は結ばれるのが当然なのだと、

私たちは自惚れていた。私たちは浮かれていた。

だから、気づかなかったの。

運命の裏側で傷ついている人がいたことを。

 

運命で結ばれた私たちは、

運命によって引き裂かれた。

なんて、それはあまりに身勝手な言い分ね。

きっと自業自得。

ふたり以外に何も見えなかった私たちは、

二度と交わらない道を別々に歩くことになったわ。

 

最後に踊ったワルツを、今も私は忘れられないの。

あれから何度か、恋をしたけれど、

他の誰も、あの人の代わりにはなりえなかった。

きっとこれから、何度恋をしても、

あの人の代わりは見つからないの。

 

だから、ごめんなさい。

もう誰とも、ワルツは踊らないわ。