「いつもありがとう」って、恥ずかしいから小さな声で。
でも、そう思っている気持ちは言葉で表せないくらい大きいから。
「何か言った?」「なんでもない」我が家は今日も平和です。
穏やかな笑顔が好きだったけど、もうお別れだ。
これからは、情熱的な瞳がボクを見つめてくれる。
さようなら、ハル。よろしくね、ナツ。
ゆっくりと目を開けたキミはキョロキョロと周りを見回し、
ボクに目を留めると「おはよう」とにっこり笑った。
パタパタと動き出すまで約5分。起動速度は改善の余地ありかな。
心の声が聞こえるようになったのはいつの頃からだったか。
聞きたくないことをたくさん聞き、知りたくないこともたくさん知った。
あの人の本当の気持ちなんて、気づきたくなかったのに…。
この心と身体に刻まれている記憶が、幸せだったと告げている。
今はもう失くしてしまった、遠い日の出来事たち。
その一つひとつを想い出し、彼女の一日は変わることなく暮れていく。
スゴイこと、なんてしなくていいよ。そのままのキミでいて。
無理して笑わなくたって大丈夫。キミがいればボクは幸せだから。
そんな気持ちに気づいて。ね、ボクのしっぽを見ればわかるでしょ?
見ているだけで心がザワザワと騒ぐ。冷静な仮面が剥がれそうになる。
近づきたくないのに、離れるとチクリと小さな痛みが胸を刺す。
「なぜ?」と困惑するキミ。知らなかった? それが「好き」ってことだよ。
どうにかしてキミを笑わせたい。泣き顔なんて見たくない。
でも、やさしく抱きしめるなんてボクにはできないから、
キミに笑顔が戻るなら、ボクはピエロでいいんだよ。
「いらっしゃいませ」と、マスターのやさしい声。
珈琲の香りと穏やかな時間が懐かしく、心地いい。
もう存在しないはずのこの場所に、ボクは今日、帰ってきた。
これが最後のチャンス。きっともう、逢うことはかなわない。
だからせめて、「さようなら」を告げたかったんだ。
明日から、キミのいない世界を生きていくボクのために。
「おはよう」というにはかなり遅い。もうお昼だよ?
背伸びをしながらあくびをひとつ。髪の毛、寝癖がひどいね。
さぁ、今日もキミの一日が始まる。ごめんね、そばにいられなくて。
遠くに教会の鐘の音を聴きながら、過ぎた日を思い出す。
笑ったこと、泣いたこと、ケンカしたこと、手をつないだこと。
やさしかった仕草も愛しいその声も、もう、私のものじゃないんだね。
彼は嘘つきだ。いつだって本当のことなど言わない。
笑顔でごまかし、スルリとかわし、ひょうひょうと切り抜ける。
それなのに、このサヨナラだけは嘘じゃないなんて。
ひと目惚れなんて信じてなかった。そんなの薄っぺらいって。
外見だけを好きになっても長続きなんてしない。すぐに醒める。
はずだったのに、私は今も、一方通行のレールの上にいる。
ゆるゆると顔を上げると、そこは見知らぬ風景が広がっていた。
ここは、どこだろう? いや、それよりも、私は、誰だろう?
誰か、答えを知らないかい? 私がここにいる意味を。
花びらに落ちた朝露が、光を受けてキラキラと輝く。
まるで、彼に愛されてキレイになっていくキミのようで、
僕は思わず目をそらし、小さくつぶやく。幸せに、なあれ。
この声が、誰かに届いていると信じたい。たとえ僅かでも。
いつか、誰かが、きっと、ここに来てくれる。私のもとへ。
その日をただ待っている。指先すらも見えない暗闇の中で。
朝起きて「おはよう」と声をかけながら花に水をやる。
色とりどりの彼女たちは、うれしそうに花びらを揺らした。
「ありがとう」と言っている気がして、僕はそっと微笑んだ。
いつもの駅で電車を降りて、改札を出て、階段を降りる。
…と、そこには見知らぬ風景が広がっていた。ここ、どこ?
いつもの風景を探してフラフラ歩く。酔いが覚めるまであと数時間。
夫が妻に言う。「なぁ、これ、いつもと味違わないか?」
妻が夫に応える。「そう? いつもと同じ味付けだけど?」
何が変わったのか。変わっていないのか。夫婦のみぞ知る。
不規則に揺れる月のブランコに身を任せてゆらりゆら~り。
つまらなそうに地上を眺める天使がいました。
その瞳がキラキラと輝き出すのは、後もう少し先のお話。
急に雨が降り出して、びしょ濡れになりながら早足で歩く。
ふっと雨が止まり、見上げれば、無愛想な黒い傘が見えた。
「ひどい降りですね」それが、あなたとの出会いだった。
キミが笑う。ボクの知らない誰かの隣で。
キミが泣く。ボクの手が届かない遠いどこかで。
終わってしまった物語を、ボクは何度も読み返している。
ある日ふいにやってきて、するりと居座ってしまった。
ねこの話? いいえ、これは人間の話。
ふらりと出ていってしまった、気まぐれな男の話。
目を閉じたまま、口元にわずかな微笑みを浮かべたキミ。
楽しい夢でも見ているのだろう、とホッと息を吐く。
ゆっくりおやすみ。キミを悲しませる現実が追ってこない世界で。
キミが望むものをすべてあげよう、とその人は言った。
けれど私には「望むもの」がない。いや、わからない。
だから、何も望まない。その人の思い通りにはならない。
退屈なんてしていられない。だって、人生は短いから。
のんびり行けばいいんだよ。人生って案外長いからさ。
私の人生はどちらだろう。答えを知るのはまだ先のこと?
いつも見ていた笑顔。なかなか終わらないおしゃべり。
ずっとあたりまえだと思っていた右隣のポジション。
失くしてしまうと知っていたら、大切さに気づけていたの?
明るい太陽が降り注ぎ、眩いくらいの青空。
自分の未来を照らしてくれるようだと彼女は思った。
それが、サヨナラから始まる新しい世界だとしても。
緑が生い茂る森の奥の奥。昼間でも暗く静かなこの場所で、
小さな勇者を見守るように、風はそよぎ、光がきらめき、花たちも揺れる。
まだ、冒険は始まったばかり。勇者の未来は、誰も知らない。
想い出はいつだってやさしい。この胸を温かくしてくれる。
些細だけれど、とても大切なもの。だから今日も私は…、
誰とも知れない他人の想い出を取り出して眺めている。
ゆっくりでいい。あんまり急がないで。慌てなくていいんだよ。
いや、むしろもっとゆっくり、一歩ずつ、確かめながら歩いてほしい。
どうか、キミを見守れる時間が、少しでも長く続きますように。
「ごめんなさい」なんて言ってほしいわけじゃない。
ボクの心に寄り添えないのはキミのせいじゃないから。
運命なんて言葉がキミを連れ去るなら、ボクは何を憎めばいいんだろう。
「溜息つくと幸せが逃げるよ」ってキミは笑った。
「大丈夫。キミがいれば僕は幸せだから」
そう言って笑った僕は知らなかったよ。本当に幸せが逃げてしまうなんて。
いつものようにドアを開ける。「ただいま」とポツリ。
誰もいないはずの部屋には、なぜか明かりが灯っていた。
失ったはずの笑顔がボクを出迎えてくれた。「おかえり」
幼い頃、ごちそうはハムサンドだった。
ひとりきりのお昼でも、ニコニコと笑顔がこぼれた。
壁一枚向こうで争う父と母の声を聴きながら、それでも私は必死に笑う。
「わからない」と男はつぶやく。その顔は困惑しきっていた。
頭の中を駆け巡るのは、無数の「なぜ?」ばかり。
答えてくれる人はいない。男はただひとり、立ち尽くしている。
古ぼけた想い出は、きれいサッパリ捨ててしまおう。
いらないものばかりしまい込む悪いクセとはサヨナラしよう。
明日からは新しい自分になる。だから、今日はまだ、泣いていいよね?
夏にはまだ早い。でも、陽射しは強く熱い。
身体を蕩かすように。心を焦がすようように。
この気持ちに名前をつけるのはまだ早い。今はまだ。
あなたが幸せならそれでいい。他には何も望まない。
そんな物分りのいい嘘を吐く彼女をじっと見つめる。
笑顔の仮面の下に潜むは、嘆きの天使か、悪魔の冷笑か。
真夜中のことば遊び。彼のキライなところを1つ言えば、
好きなところが2つ、3つと思い浮かんでしまう。
そんな自分に苦笑しながら、彼女は今夜も、想い出とともに眠る。
「昨日まで見ていた風景は夢だったのか」と男はつぶやく。
彼の目の前には、何もない。心地よい空間も、お気に入りのメロディも。
あたたかな笑顔すらも。一つ残らず消えた。彼だけを残して
夕立に降られた帰り道、ボクはキミと出逢った。
ずぶ濡れで小さく震えていたキミ。その姿に初めて抱いた想いは、
薄れることも、消えることもなく、今もこの胸にある。
目を閉じていれば、何も見なくて済む。傷つかずにいられる。
恋をして、苦しくて、臆病になって。彼女は、諦めた。
だから、物語は続かない。用意されたハッピーエンドを知らぬまま。
いつから始まっていたのか、男はしばし呆然とした。
気づかなかった自分の迂闊さを、今は笑うこともできない。
無縁だと思っていたよ。誰かをこんなに愛おしいと思う気持ちなんて。
キミの好きな和菓子を買って、ついでに花も一輪。
柄じゃない? 僕もそう思う。だからちょっと恥ずかしい。
でも、年に一度の特別な日だから…いいよね?
不思議な夢を見た。水にぷかりぷかりと浮かんでいる。
行く先も知らず漂って。なのに、心は穏やかで不安なんてない。
ここにいたい、という望みは叶わない。だから僕は、大きな声でないた。
声に出せない想いは、そっと心の中でつぶやくだけ。
誰にも知られないように。あなたに伝わらないように。
そう思っているのは彼女だけ。目は口ほどに物を言うのさ。
目覚めれば、隣にキミがいて、穏やかな寝息を立てている。
今はまだ、朝と言うにも少し早い時間。ひとり幸せを噛みしめる。
だからもう少し。もう少しだけ、醒めずにこの世界にいさせてほしい。
このひとことを伝えたら、すべてが終わってしまう。
もう、笑い合うことも、名前を呼ぶことも、ない。
あなたがいない世界で生きていく。明日からはひとりで
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