ナンバーワン
男は、目の前の彼女にそっと告げる。
「キミが、いちばん好きだよ」
男のことばに、彼女は恥ずかしそうに微笑んだ。
その様子に満足げな表情を浮かべ、
男はペロリと、心の中で舌を出す。
だって、甘いことばはその場限り。
「またね」と言った次の瞬間、
男はもう、
彼女ではない、別の誰かを思い浮かべている。
そして明日も、
男は目の前にいる誰かにささやくのだ。
「キミが、いちばん好きだよ」ってね。
朗読/紺谷勇太
朗読/山口龍海
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