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プレゼント Part2

誕生日に渡されたプレゼント。
味わいが深くてミルクティーによく合う、
ボクが大好きなアッサムの茶葉に添えられたカードには
たったひとこと
「すきです」
とひらがなで書いてあった。
 
そっけないほどストレートなのに、
いや、だからこそ、
心の奥をくすぐるような告白。
破壊力は、抜群だった。
 
次の日から、ボクは彼女とすれ違うたび、
声をかけてくるかな、とか
にっこり笑いかけてくれるかな、とか
甘い期待を抱かずにいられなかった。
けれど、
彼女はまるで素知らぬふり。
プレゼントも、添えられたカードも、
ボクじゃない、別の誰かのためだった?
そう思えてくるほどだった。
 
このまま引き下がる?
そんなわけない。
素知らぬふりなんて、もうさせないよ?
 
今ボクの目の前には、小さな箱がある。
キレイにラッピングされ、リボンをまとったそれは、
彼女の誕生日のプレゼント。
いつか彼女がお気に入りだと言っていた
ヴィタメールのチョコレート。
カードも添えた。
そこに書いたひとことは…秘密だ。
 
ずっと伝えたかったことばは、
彼女にだけ、届けばいい。

朗読/蒔苗勇亮