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目は口ほどに

言葉にしなきゃ伝わらない。
そんなこと、知ってる。
でも、いざとなると勇気が出ない。
他力本願。星に願いかけたりする。
 
今のままでいい。
あなたと逢えるなら。その声を聞けるのなら。
今のままがいい。
あなたに嫌われるくらいなら。あなたを失うくらいなら。
 
言い訳ばかりを並べたて、
言葉にしない自分をかばって、慰めて。
いつまでそんなことを続けるつもりだ?
自分で自分に、呆れて、焦れて。
前にも後ろにも、進むことも戻ることもできない
…はずだった。
 
きゅっと握り込まれた手に驚いて、
はっと見上げれば、あなたがやさしく微笑んでいる。
静かな、でもたしかな熱をたたえた瞳には、
誰でもない、僕が映っている。

朗読/空閑暉