周囲の誰もが、僕を評してこう言う。「きまじめな人」と。
だって、女の子は誰でも、楽しい男が好きなんだから。
軽い口調で笑わせてくれる、たとえば…営業部の彼みたいな男。
僕が女だとしても、きっと僕ではなく彼を選ぶだろう。
俺って、お調子モノ。周囲の評価もそうだし、自分でもそう思う。
だって、しょせんにぎやかし要員って言うか、盛り上げ役だし。
結局、男は金持ってないと相手にされないんだよなぁ。
これまで自分からアプローチする必要なんてなかったし。
だから、まさか断られるなんて…今でも信じられない。
それに、誠実なんて、真面目なだけが取り柄の男のことだろう?
ほら、総務部のヤツとか。あんなので本当にいいのか?
「冗談のひとつくらい、言ってみたいけど、僕にはやっぱり無理で」
「経済力とやらを手に入れたいけど、そう簡単にいくわけねぇし」
「誠意なんて目に見えないもの、どうやって示せばいいんだろうね」