『喝采』ちあきなおみ
先週はお休みしてしまいましたが、
改めて、昭和歌謡をうだうだ語る火曜日です。
今週は、名曲『喝采』をピックアップ。
レコード大賞受賞曲ということで
リアル世代じゃない方も聴いたことがあるのでは。
あぁ…コロッケさんのモノマネで知ったという方も
少なくないでしょうが、
そんな方々は、ぜひ、ご本家を一度聴いてください。
あたりまえですが、別物です!!
昭和歌謡は「情景が浮かぶ歌詞」
というのが特徴のひとつなのですが、
その中でも、群を抜いているのがこの曲!
まるで上質な短編映画を観たよう。
歌い出しは、まさにオープニング。
ステージで歌う女性の姿に
タイトルがオーバーラップ。
場面が変わって楽屋。
そこから回想シーンへ。
そして、教会の前に佇む女性の姿。
もうね、映像が浮かんでくるんですよ。
静かで、切なくて、美しい映像が。
待合室で静かに座っている女性の耳に
自分が歌う恋の歌が聴こえてくる。
ここで再び回想シーン。
幸せな頃のふたりの思い出が次々と
溢れるように出てきて…。
ラストシーンは再び、ステージ。
オープニングと重なるように
恋の歌を歌う女性を映し出し、
エンドマーク…。
っていう妄想ムービーが流れます(笑)
こんなふうに語ると、
「歌詞がすごいんだ」に聞こえますけど、
曲もすごい。
このドラマティックな歌詞を
なお一層きらめかせるメロディ!
そして、この曲をひとつのドラマに
仕上げているのは、
歌い手である、ちあきなおみさんその人。
どんなに素晴らしい曲でも、
歌い手がその世界を表現できなければ
駄作に成り下がるのが歌の世界です。
ちあきなおみさんは
この名曲を一段も二段も
さらに上へと押し上げる歌唱を
聴かせてくれます。
この人以外にこの曲は歌いこなせません。
どんなに歌唱力のある人がカバーしても
絶対にオリジナルには及ばない。
そう思わせるのは、ちあきなおみさんと
もうひとり、山口百恵さんだけです。
山口百恵さんとちあきなおみさん。
状況はまったく違いますが、
一度、芸能界から身を引いた後、
決して表に出てくることがない姿勢は
共通していています。
そして、おふたりの曲は
誰が歌っても
絶対にオリジナルを超えられない。
おふたりとも、二度と表れないような
稀有な歌い手だと思います。
私の中では
このおふたりは絶対的な歌姫。
その歌をリアルタイムで聴けたこと私は
幸せものだと思います!
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