トップ
>
Night★Cap Story
> 幸せなふたり
幸せなふたり
ツイート
節のないスラリと長い彼の指が、
彼女の頬にそっと触れる。
まるで、「愛してる」とでもささやくように。
だから、彼女は期待してしまう。
ありもしない未来を。叶うことのない想いを。
彼と彼女は、誰が見ても「幸せなふたり」。
だから、彼女の嘆きに気づく人はいない。
ふたりの心が通い合っていないなど、考えもしない。
彼と彼女は、
一対になることが生まれたときから決まっていた。
それは別に、赤い糸などという話ではないけれど。
確かにふたりは、一対であることを望まれ、
一対であることが約束されていたはずだった。
たとえそれが、周囲の思惑とか都合とか、
いわば、鎖のようなものであっても。
彼の指先に、わずかな熱もないと、彼女は知っている。
彼女を見つめる彼の瞳は、凪いだ海のように静かで、
冷たく透き通っているばかり。
だからもう、彼女は期待してはいけないのだ。
ありえない可能性など。
真実を知っているのは、彼と彼女だけ。
けれど、それを嘆いているのは、彼女だけ。
彼女の心を置き去りにしたまま、
「幸せなふたり」の物語は、続いていく。
朗読/山口龍海
"Night★Cap Story"の関連記事
<
軽いくちびる
>
メリーでハッピーな夜
STORY's
Night★Cap Story
恋ジャズ
3行小説まとめ
ことばやコラム
たまには野球の話でも
やっぱり大好き! 歌謡曲
勝手にレビュー
余談ですが
YouTube
Night★Cap Story動画
ラジオ「Night★Cap Story」
リピート放送
朗読
延長戦/アフタートーク
アーカイブ(2018.4月~2019.3月)
ラジオ「イケメン♡カフェ~ビター&スイートへようこそ」
リピート放送
スイーツ(朗読)
ことばやの仕事
実績
脚本
インタビュー
書籍
広告コピー
ことばやメンバー
お問い合わせ
お問い合わせフォーム