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メリーでハッピーな夜

陽気なクリスマスソングが流れ、
イルミネーションがはしゃぐように瞬いて、
誰もがウキウキと行き交う街の中、
ボクの心は、もやもやと曇り空が続いている。
 
だって！
断然オモシロくないんだ。
アイツら二人、こそこそ、ひそひそ。
ボクだけ仲間はずれにして、
楽しそうに笑ってるんだ。
そんなの、オモシロくないに決まってる！
 
二人とも、ボクにとっては大切な友だち。
一人は幼馴染。
引っ込み思案なアイツと、
いちばん最初に仲良くなったのはボクだった。
そして、もう一人は高校時代からつるんでる親友。
すごくノリが良くて楽しいアイツとは
初めて会ったときからすごく気が合った。
だから二人とも、大切なボクの友だちなんだ。
 
なのに、今じゃボクをそっちのけで
アイツらばっかり仲良しで。
それが何だか悔しくて。
それが何だか苦しくて。
ボクの心は、ずっとチクチクと疼いてるんだ。
 
そうしてやってきたクリスマス・イブ。
ボクの目の前には、してやったりの笑顔がふたつ。
ほしかったスニーカーを
無造作に突っ込んだ靴下を抱えた幼馴染サンタと、
大きなケーキを差し出す親友サンタが笑ってる。
 
恐れ多くも、キリスト様と誕生日が一日違いのボクに、
アイツら二人が仕掛けたサプライズ。
メリークリスマスと一緒にやってきた
ハッピーバースデーがうれしくて、
ボクらは三人揃って、最高の夜に乾杯をした。
朗読／蒔苗勇亮

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