この身体に刻まれたあなたの記憶。
それはまるで呪いのように
私を縛りつけて離さない。
ふとした時によみがえり、
さりげない瞬間にこの身を蝕む。
髪が、指が、くちびるが、あなたを覚えている。
あなたの他には何もいらない。
そんな盲目的な恋を私がするなんて、
誰も信じなかった。私ですらも。
恋に溺れてすべてを捧げるなんて、
バカバカしいと思っていた。
あなたに出逢うまでは。恋をするまでは。
この心の燃え残るあなたへの恋心。
それは今も胸を締めつけ、
声もなく叫び続けている。
差し伸べる手はすでになく、
見えない血を流しては絶望に染まる。
寂しくて、苦しくて、会いたくて、あなたを恋しがる。
ピエロのような私を、誰もがあざ笑う。
私だって、他人事ならきっと笑っていた。
心も、身体も、たったひとりの人に埋め尽くされ、
身動きもとれず、もがくだけの存在を
きっと「滑稽だ」と、
「惨めだ」と、笑っていたに違いない。
あなたの瞳に、もう私は映っていない。
それは知っているけれど、
それはわかっているけれど、
この身体も、この心も、
あなたがほしいと嘆く。
今夜もまた。明日もまだ。
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