キミが笑う。
少し寂しそうに、すこし苦しそうに。
「物語の終わりは、ハッピーエンドがいい」と。
だから、ボクは願う。
降りしきる雪が、キミの心まで凍らせないようにと。
暖かなぬくもりが、キミのそばにありますようにと。
出逢いは春。
陽だまりの中で微笑むキミに、ボクは恋をした。
時が止まったみたいに、ただキミを見つめていたっけ。
夏はまだ片想い。
必死のアプローチも、まるでキミには通じなくて、
鈍感すぎるキミの攻略法はどこを探しても見つからない。
諦めかけた秋にようやく実った恋。
紅葉のように色づいていくふたりの心は、
冬の木枯らしの中でいっそう固く結ばれて。
それから幾度も、一緒に季節を見送った。
だから、こんな風に離れる日が来るなんて、
ボクは一度も想像したことがなかった。
キミとボクに、
ハッピーエンド以外の結末があるなんて
知らなかった。知りたくはなかったよ。
それでもキミが、ハッピーエンドを望むなら、
ボクは祈るよ。
青い鳥が、素敵な恋をキミに運んでくるようにと。
ボクは願うよ。
萌える緑に誘われ、幸せがきらめくようにと。
もう一緒にはいられないけれど、
隣を歩くことはできないけれど、
ボクは誓うよ。
誰もが羨むハッピーエンドをキミに贈ろう。
ボクではない、別の誰かとキミの
終わらないハッピーエンドを。
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